この理想を実現するにはどのようにしたら良いのでしょうか。自分流を押し通すことも人生ですが、独りよがりの健康法には時々大きな間違いもあります。客観的に自分自身をみつめて、必要があれば軌道修正することも健康長寿をマネージメントしていくためには必要です。
先進諸国では24時間で5時間ずつ寿命が延びていると言われています。30年後には平均寿命が100歳に達するという説もあります。この数字は生物科学的には全く無理のない現実的な数値です。それほど現代医療の技術は進歩しています。
本稿では抗加齢医療とはどのようなもので、今日からできるアンチエイジング医療についてご説明します。 誰でもできるアンチエイジング医療の柱に「心」「食」「動」の三つがあります。
「心」は心の持ち方。ポジティブサイコロジーという研究分野も生まれたほど、科学の世界は人間心理の変化と健康について解き明かそうとしています。若々しい心とは、何事にも前向きに取り組むことができる心です。老化は心から始まるとも言われるように、心の持ち方は抗加齢医療にとって大きな部分を占めています。
「食」は食事、栄養素の取り方。何をどのようにどのくらいの量食べるのかで健康長寿は決まってきます。科学の領域で実証されていることは、小食は長生きに通じるという事実。英語ではカロリーリストリクション(CR)と呼びます。日本人には昔から腹八分目という諺があるように、飽食を避けることが健康に繋がることを先人は伝えています。
「動」は運動を意味します。使わない筋肉は萎えてしまう。体は使ってこそ生きます。激しい運動は不要です、日頃の健康を維持するには無理のない適度な運動がおすすめです。加齢によって衰えてしまう筋肉は、太ももの全面にある大腿四頭筋と内臓の奥深くにある腸腰筋と呼ばれる筋肉です。これらの筋肉が衰えないようにサポートすることが大切です。
こうしてみると、どれもさほど難しくはみえないかもしれませんが、いざ自分でやってみるのはなかなか大変という方も多いのではないでしょうか。抗加齢医療では血液検査により現在の栄養状態の評価を行い、必要な栄養素を補うことやホルモンレベルのバランスを整えることを行います。この連載では抗加齢医療専門のクリニックで行われているアンチエイジング医療の具体的な内容についてご説明したいと思います。