ホモシスティン( Homocysteine)という血液検査項目をご存知でしょうか?海外では広く知られている、健康レベルの維持のためには欠かすことのできない検査項目です。ホモシスティンが高値であると動脈硬化、認知症、骨粗鬆などのリスクが増えるといわれています。
当院の患者様でも次のようなケースがありました。東京マラソンも走っていた健康志向の強い50代の男性ですが、職場で突然の心筋梗塞に襲われました。救急処置により幸い一命を救われましたが、なぜ自分が心筋梗塞をおこしたのか全くわからないということで当院を受診されています。
初診時の検査では、心筋梗塞のリスクファクターと言われる、コレステロールや中性脂肪の値は正常範囲にあり、喫煙習慣もないため、その原因は通常検査だけでは突き止めることができませんでした。しかしホモシスティン値は、健常人の基準値のほぼ倍の24(nmol/ml)と異常に高い値でした。おそらくホモシスティンが高値であったことが心筋梗塞の原因の一つであったと考えられます。
ホモシスティンは、悪玉アミノ酸とも呼ばれるようにアミノ酸代謝産物の一つです。ビタミンB6,B12,葉酸という栄養素が不足すると血液中のホモシスティン値は上昇します。ホモシスティンが上昇しやすい体質を持っている人が日本人では5人に1人という比較的高い割合で存在するとも言われています。
心臓疾患患者の生命予後とホモシスティンとの関係を調べた論文では、ホモシスティンが9(nmol/ml)よりも低い値では、5年生存率が95%以上ありますが、ホモシスティンが増えるほど5年生存率は徐々に減少することが明らかにされています。5年生存率を99%に維持するためには、ホモシスティンを6 (nmol/ml) 未満にする必要があるとも言われています。
ホモシスティン値を下げることはさほど難しいことではありません。ビタミンB6,B12,葉酸というホモシスティン値を下げる栄養素を十分に補給することで可能です。海外にはホモシスティン値を下げる目的に特化したサプリメント製品も販売されています。
自分のホモシスティン値が適正値か否か、おもわぬ病気に遭遇しないためにも、専門医に調べてもらうことをお勧めします。