「がん」は全身病とも言える病態です。腫瘍を切り取ればそれで終わりではなく、病気の根、すなわち体内環境が、がん細胞を生み出したと考えるべきです。体内環境を変えない限りがんの再発の可能性は残ります。このため生活習慣の改善が、がんを予防する上で大きな部分を占めます。米国癌研究センターから公開されているがん予防10か条は、がんにならないための生活習慣を示す一つの指針です。
1. 痩せすぎ、太り過ぎに注意。
2. 毎日30分の運動を、座りっぱなしを減らす。
3. 甘味飲料を避ける エナージーバーを減らす。
4. 野菜、果物、全粒粉、豆類を食べる。
5. 赤身肉(牛、豚、マトン)を制限し、加工肉を避ける
6. アルコール摂取、男性 2SD、女性1 SD (standard drinks)*以下に。
7. 塩漬け食品を減らす。
8. がん予防の目的での栄養サプリメントを使わない。
9. 乳児、6ヶ月間は母乳のみで育てる。
10. がんサバイバーは、これらのがん予防生活習慣を守る。
”喫煙と噛みタバコは いうまでもなくNG”
* SD (standard drinks) …………… 1 SD : ビール 350ml, ワイン 100ml、ウィスキー 30 ml
ざっとまとめるとこういう内容です。これはとても無理だと思う方も多いかと思いますが、生活習慣のガイドとして記憶にとどめていただければ幸いです。
8番目の趣旨は、サプリメントを摂取しているからどのような食生活でも良いという誤った考え方に対する警鐘です。基本は食生活。補いきれない栄養素をサプリメントで補うことはいうまでもありません。
9番目に授乳期間は可能ならば6ヶ月間とあります。これは母体と乳児の発がん予防につながるとされています。しかしここで大きな問題があります。つい先日公表されたデータでは、母乳栄養で育てられた日本人の乳児では、ビタミンD濃度が極端に低くなっていることです。その結果、乳児の健康障害を招いています。欧米では、ビタミンDを添加した牛乳やオレンジジュースなどが市販されていますが、日本では皆無です。妊娠している女性は、サプリメントによって積極的にビタミンDの補充を心がけるべきです。