母乳栄養だけで育てられた乳児の、なんと75%でビタミンD不足が見られたということです。
本研究は、東京都と静岡県に在住する生後48ヶ月までの乳幼児を対象に、血液中のビタミンD濃度を測定しています。離乳食移行前の55例について検討した結果、母乳栄養だけで育てられている乳児の75%でビタミンD不足が認められたということです。幸いなことに対象の乳児に「くる病」などの疾病は見られませんでしたが、母乳栄養だけに頼ることのリスクが浮き彫りになった形です。
母乳栄養は理想的な乳児の栄養であるはずです。自然界の動物たちもそうであるように、人間の乳児も母乳栄養で育てられるべきです。先週お知らせした発がん予防10か条の中にも、母乳栄養6ヶ月の項目があるように母乳栄養を尊重すべきです。
しかし今回の研究でもわかるように、母体のビタミンD不足が起きている以上、母乳中のビタミンD濃度を高めることはできません。 乳児のビタミンD不足は骨の成長だけでなく、免疫や脳神経の発育にも影響を与える可能性があります。
このため母乳栄養で育てる場合には、積極的に日光浴の時間を作るか、サプリメントの形でビタミンDを補充することが勧められています。もちろん母親自身のビタミンD濃度を上昇させることも重要な対策です。
ビタミンDは、単なるビタミンではありません。ホルモンと同じような重要な働きをしている極めて重要な栄養素です。単品のサプリメントとしては最も安価なこともあり、マスコミなどの宣伝で見かけることが少ないのは残念なことです。次の世代の健康のためにも、女性の方はビタミンD補充を積極的に行って下さい。