脳には「Glymphaticシステム」という、脳細胞から老廃物を排出するメカニズムがあります。本研究では、マウスを用いて、このGlymphaticシステムの機能が、アルコール濃度の違いによってどのように変化するかを調べています。
体重あたり 1.5g/kgという大量のアルコールを与えた場合、マウスのGlymphaticシステムは機能が低下し、脳細胞の機能障害が見られましたが、その1/3にあたる、0.5 g/kgのアルコールでは、Glymphaticシステムの機能が、逆に改善し、脳細胞の老廃物の蓄積量も減少したということです。
これらのことから、アルコールは少量だと脳細胞にとって好ましい作用があるが、大量になると反対にマイナス効果があるということがわかります。
適量のアルコール摂取は、心筋梗塞など心疾患を減少させることなどが指摘されていますが、本研究のように、脳の浄化装置であるGlymphaticシステムの機能が、少量のアルコールで改善することは知られていませんでした。
確かにほろ酔い加減の時には、頭脳が冴えてアイデアが多く出るということもあります。日本酒を飲んで仕事をしていた著名な日本画家の話もあります。上戸にとってはなんとも嬉しい情報ですが、適量なのか、大量なのか、飲み始めてしまうとわからなくなるというのが酒飲みの悩みでもあります。
ちなみに本研究で適量とされる0.5 g/kg は、個人差もありますが、おおよそ1~2合程度のアルコール量になります。 酒は飲むものであって飲まれないようにするという、先人の智慧に優るものはなしということでしょうか。寒さの厳しい季節です、適量なお酒で暖をとるのも養生の一つ、認知症の予防になるのかもしれません。