この論文は、米国軍人を対象に喫煙のもたらす影響について調べていますが、紙巻きタバコの喫煙者では、非喫煙者に比べて身体トレーニング中の骨格筋損傷のリスクが上昇するということです。
本論文によれば、喫煙者では男女とも、筋骨格系損傷のリスクが、非喫煙者に比べて20~30%程度高いことが明らかにされました。さらに、喫煙強度(本数や頻度)が高いほど、筋骨格系損傷リスクも増える傾向がみられ、最も喫煙強度が高い人では低い人と比べて、男性で84%、女性で56%も筋骨格系損傷リスクが増えていました。
米国軍人の喫煙率は、一般人のほぼ倍にあたる約35%と言われていますので、喫煙のもたらす弊害が、軍事訓練にとって大きなマイナス因子であることがわかります。どの程度の喫煙期間が筋骨格系損傷リスクに影響を及ぼすかについては、著者の意見によれば、数カ月間の喫煙でも十分にリスクは増大していたということです。
私も大学生時代に喫煙を試みましたが、当時所属していたスキー部の練習で運動能力が極端に落ちることを体験したため、即時禁煙しました。近年の研究では、喫煙の本数がわずか1本でも健康障害が高くなることや、葉巻やパイプなど紙巻タバコ以外の製品でも同様の健康障害が起きることが報告されています。
さらに、喫煙する本人だけでなく、周囲の人への副流煙の影響も無視できないことが明らかにされています。副流煙の障害などについての詳細は厚労省からの情報をご覧ください。自分自身だけでなく、周囲の健康のためにも禁煙することをお勧めします。