ビタミン D の重要性については、このブログでも度々お伝えしていますが、最近報告された研究では、ビタミン D が低いアスリートでは、鉄欠乏貧血が高頻度で起きていることがわかりました。
この研究では、トッププロの女性のアスリート219名を対象として血液検査を行い、ビタミンDと鉄について調べています。その結果、約54%の対象者にビタミン D 欠乏が見られたこと、及び約23%の対象者に鉄欠乏が見られたことが判明しました。さらに鉄欠乏がある対象者では、約3倍の頻度でビタミン D 欠乏が起きていること、反対にビタミン D 欠乏がある対象者では、約2.7倍の頻度で鉄欠乏がみられました。
当院の外来データを分析しても、ビタミンDが低い患者では、フェリチンという鉄を蓄えるタンパク質の値が低いことが確認されています。逆にビタミンDが高いとフェリチンも高い傾向にあります。一つの仮説ですが、ビタミン D が鉄の吸収や代謝に大きく関わっていることが考えられています。つまりビタミン D を増やすと鉄が吸収されやすくなり、鉄の貯蔵量が増えるというものです。
ビタミン D を増やす方法には、食品摂取と紫外線に当たることがあります。それができなければサプリメントによる摂取が必要です。ビタミン D を多く含む食品の代表は鮭などの魚です。 紫外線を避けている方は積極的に魚を食べる必要があります。
若い女性のビタミン D 不足、並びに鉄不足はかなり蔓延していると言っても過言ではありません。どちらの栄養素も元気に活躍するためには不可欠なものです。血液検査により適正値を維持できているか否か、確認されることをお勧めします。
目次