人生100歳時代は本当か?

9月17日は敬老の日ということもあり、元気なお年寄りの話題が数多くの番組で放映されていました。

人生100歳時代という言葉もよく耳にするようになりました。確かに平均寿命は伸びています。サザエさんの連載が始まった昭和20年代後半、男性の平均寿命は60歳を少し超えた程度です。家長の波平さんの年齢設定は57歳。もうすぐ還暦で、赤いチャンチャンコを着せられて、あとはあの世にゆくのを待つばかりというのが当時の常識でもありました。 時代は移り半世紀以上たつと、人間の寿命も大きく変化しました。

当院へいらっしゃる還暦を迎えた患者様を拝見していても、もうすぐあの世行きなどという感じは全くしません。還暦からふた回り、つまり84歳くらいまでは、十分に元気に日常生活を過ごす体力や気力がみられます。 それではこのまま平均寿命は伸び続けるのでしょうか。

このグラフは立命館大学法学部教授、佐藤敬二 先生のサイトより改編したものですが、平均寿命の伸びが徐々に低下していることがわかります。1935頃の男性の平均寿命は50歳ほど、これが1950年になると急速に伸びて一挙に60歳程度になります。1970年にはさらに伸びて平均寿命は70歳程度になります。

1950年から1970年までの1年あたりの平均寿命の伸びは0.46歳でした。しかし高度経済成長から飽食の時代へと移行すると、平均寿命の伸びには陰りが見え始め、平均寿命が80歳を超えるのは2014年まで待つことになります。1970年から40年間の平均寿命の伸びは1年あたり0.22歳とそれまでの半分以下に減速しています。

このまま行くと男性の平均寿命が100歳となるためには、あと50年かかる計算です。人生100歳時代はまだまだ先のことのようです。 平均寿命の伸びが低下した理由については諸説があります。しかし確かなものとしては、1970年以降は、心臓血管疾患、がん、糖尿病などの生活習慣病が、人間の寿命を大きく左右する疾患として浮上してきたことが挙げられます。元気に長生きをするためには、これらの疾患を未然に防ぐための予防策が重要です。

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