ビタミンCと健康

犬や猫は体内でビタミンCを作り出すことができますが、我々人類はビタミンCを体内で作ることができません。このため食品からビタミンCを定期的に補給する必要があります。ゴリラはせっせと木の葉を食べていますが、彼らの食べる木の葉に含まれるビタミンCの総量は、体重換算すると人間の成人の場合、約3から4gほどに相当します。

今年の8月に報告された論文では、血液中のビタミンC濃度が高いほど死亡率が低い傾向があることが報告されています。この研究は約1000名ほどの男女(年齢53-84歳)をほぼ16年間に渡り調査し、生命予後とビタミンC濃度との関係を調べています。調査期間中、ほぼ半数にあたる551名が、脳血管障害、心筋梗塞、ガンで亡くなられています。

ビタミンCと死亡との関係について調べると、ビタミンCが28 μmol/L以上の群では、それ以下の群と比較して心臓疾患による死亡件数が約40%も低下していました。さらにビタミンC濃度に従い全体を4群に分けたところ、最もビタミンC濃度が高い群は、最も低い群に比べて、全死亡が25%、脳血管障害が28%、ガンが28%、そして心臓疾患が35%、それぞれ低下していました。

ビタミンCの働きはコラーゲン繊維の合成を助けるほか、活性酸素の除去、肝臓の解毒酵素の活性化、神経伝達物質のノルアドレナリンの合成促進、鉄分やミネラルの吸収促進、免疫能力賦活作用など多岐に渡ります。またビタミンCは眼球内の水晶体や副腎皮質に多く含まれることから、これらの臓器で重要な働きをしていることが推測されます。
ビタミンCは水溶性ビタミンのため、服用後3〜4時間で体外へ排泄されてしまいます。このためサプリメントとして服用する場合、朝晩にとることが理想的です。過剰摂取の副作用には下痢があるため、この性質を利用して便秘の治療目的で利用することもあります。健常人の場合、5g以上摂取しない限り下痢になることはほとんどありません。腎臓結石が起きやすくなるという説もありますが、これは事実確認がされていない誤った情報です。
加熱調理によってビタミンCは壊れてしまいますので、新鮮な野菜や果物から補給することが理想です。サプリメントとして摂取する場合には、朝、晩それぞれ1g程度を目安に、体調に合わせて増減させることがおすすめです。疲労を感じる時には就寝前に2〜3gを服用すると翌朝スッキリと目覚めることができます。野菜不足を感じている方は積極的にビタミンCを補給しましょう。
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