今年で14回を迎えたキレーション治療セミナー応用編より、内容のダイジェスト、その2をお伝えします。今年は以下のような講師の先生方のご講演をお願いしました。(講演順、敬称略)後半は4、5についてお話します。
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漢方とデトックス …渡辺賢治(慶應大学教授)
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本当は怖いEDの話 … 岡田弘(獨協大学越谷病院教授)
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睡眠医学の実際 … 遠藤拓郎(慶應大学教授)
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骨の老化と酸化ストレス… 齋藤充(東京慈恵会医科大学整形外科)
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運動とアミノ酸… 藤田聡(立命館大学教授)
骨密度に問題がないのに、骨折してしまった。時々耳にする会話です。これは骨質に問題がある場合に起こりうる現象です。骨を鉄筋コンクリートに例えると、セメントに当たる部分が骨基質、鉄筋に当たる部分がコラーゲン線維に相当します。骨密度測定とは骨基質を調べる検査であり、骨質に当たるコラーゲン線維の状態を知ることはできません。このため高齢者の骨を守るためには骨質の状態を把握し、その劣化を防ぐことも重要になります。骨質の劣化を招く原因には、酸化現象、糖化現象、高ホモシスティン血症など様々なものがあります。齋藤先生からはこのあたりの最新情報についてわかりやすくご説明いただきました。
筋肉量が減少するサルコペニアと呼ばれる状態は、高齢者が予防しなくてはならない注意すべき現象です。しかし高齢になると摂取できる栄養素の絶対量も減少するため筋肉量を維持することは難しくなってきます。このため効率よく筋肉量を維持できる栄養素を摂取する事が求められます。筋肉量を増やすことは、筋肉から放出されるアイリシンなどのホルモンを増やすことによって、骨の健康や動脈硬化の予防に繋がります。藤田先生のご研究により、ロイシンと呼ばれるアミノ酸が筋肉量を増やすためのスイッチを入れる事がわかってきました。今後は適度な筋肉運動と運動後のアミノ酸摂取が普及するかもしれません。
年に一回ですが、最新の研究情報を開業医の先生方と共有できることは大変にありがたいことです。ご協力いただきました講師の先生方に心より御礼申し上げます。