ビタミンB6は現代人にとって最も不足しやすい栄養素の一つです。それは環境汚染物質や食品添加物の影響によって減少しやすいビタミンであること、また現代人のタンパク摂取量が増加していることなどが理由です。
環境ホルモンは、女性ホルモン(エストロゲン)様作用があり、月経前症候群(PMS)や子宮内膜症などの原因の一つと考えられています。こうしたケースでは、ビタミンB6を栄養サプリメントなどから補給すると、症状の緩和がおきることが知られています。このほかにも環境汚染物質による体調不良の緩和にはビタミンB6がお勧めです。
タンパク質の代謝にもビタミンB6は大きな役割を果たしています。一つの例として、トリプトファンからセロトニンを作るためにはビタミンB6が必要です。B6が不足すると不眠、日中の不安感、筋肉痛など、セロトニンが不足して起きる様々な症状が誘発されます。タンパク質の摂取量が多いのにビタミンB6の摂取が少ないと、悪玉アミノ酸と言われるホモシスティンが上昇する可能性があります。ホモシスティンは動脈硬化など生活習慣病を増悪させる原因の一つです。タンパク質は十分にとっているのに体調が優れない場合には、ビタミンB6不足を疑う必要があります。
ビタミンB6が足りているかどうかを知る簡単な方法があります。血液検査の肝機能の項目にある、AST(GOT)とALT(GPT)の値を確認してください。ALTがASTと比較して大幅に減少している場合、例えば ASTが20 (U/L)に対してALTが10(U/L)しかない場合には、ビタミンB6不足である可能性があります。疲労感や不定愁訴もある場合には、栄養療法を行なっている医師の診察を受けることをお勧めします。糖質代謝だけでなく、タンパク質の代謝にも大きく関わっているビタミンB6の補充をお忘れなく。