心臓血管疾患には、心筋梗塞、冠状動脈疾患、脳梗塞などが含まれます。5年間にわたる調査機関中、魚脂としてオメガ3脂肪酸を摂取した場合には、心筋梗塞また冠状動脈疾患による死亡のリスクが、8%低下することがわかりました。またオメガ3脂肪酸の摂取量に応じて心臓血管疾患のリスクも減少する傾向が見られています。
オメガ3脂肪酸が注目されるようになったきっかけは、1960年代のデンマークの疫学者の研究に始まります。彼らはグリーンランドに居住するイヌイットに心筋梗塞や喘息など、その当時の西欧諸国でよく見られた疾患がほとんどないことに注目し、その原因が食生活の違いにあることを指摘しました。
西欧諸国では動物性脂肪や植物性脂肪が中心の食生活であり、オメガ6脂肪酸摂取量が多く、オメガ3脂肪酸摂取量が極端に少ないものでした。一方イヌイットの食生活では、これと正反対にオメガ3脂肪酸摂取が多く、オメガ6脂肪酸摂取が少ないことがわかりました。
ここからEPAやDHAの研究が始まり、現在ではこれらの成分を活用した医薬品も製造販売されています。 当院の外来では、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の血液中の濃度を調べていますが、データを見ていると、現代の日本人の食生活において魚離れが急速に進んでいることがよくわかります。特に若年者や女性でオメガ3脂肪酸濃度が低値であることが気になります。心臓血管疾患の予防のためにも、食生活に魚を多く取り入れて欲しいものです。