鉄と健康  その1

鉄は生命現象の根幹を支える重要なミネラルです。酸素を身体中の組織に運搬し、栄養素から細胞のエネルギーであるATPを作り出す過程で、鉄は極めて重要な働きをしています。酸素を全身に運ぶ役割は、赤血球に含まれるヘモグロビンが担っています。また細胞内でエネルギーを産生する酵素にも鉄が含まれています。

さらに鉄は心臓や骨格筋など重要な臓器に高濃度で含まれているため、鉄の不足は全身の機能にとって大きな障害となります。若年女性によく見られる、不定愁訴、偏頭痛や全身の虚脱感などは、鉄欠乏が原因であることが多々あります。

鉄欠乏であるか否かを知るには、血液中のフェリチン濃度を測定する必要があります。しかし一般的な健康診断ではフェリチンを調べないことも多いため、潜在的な鉄欠乏状態は多くの場合放置されているのが現状です。

フェリチンの代わりになる指標として、血液検査の項目一つであるMCV値があります。MCV値とは平均赤血球容積 (Mean Corpuscular Volume)を意味し、ヘマトクリット(Hct)値を赤血球数(RBC)で割った値であり、正常範囲は、90~100 (fl)です。この値が90を下回るようであれば、貧血と言われてなくても、鉄欠乏が隠れている可能性がありますので、積極的に鉄を含む食品やサプリメントで鉄の補充をすることをお勧めします。

閉経前の女性は、毎月の生理で血液を失っていますので、積極的に鉄分の補給をしないと潜在的な鉄欠乏状態となってしまいます。煮干しやイワシのような全体を食べることのできる小魚、またはレバーのような鉄を多く含む食品を意識して食べるようにしたいものです。次回は鉄過剰の弊害について述べたいと思います。

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