緊急事態宣言も解除となり、社会活動が戻りつつあります。しかしCOVID-19のリスクが終焉したわけではありません。残念ながら第2波、3波が必ずやってきます。秋風が吹き始める10月上旬までに備えを作らねばなりません。
次の波が来た時にどのように対応するべきなのか。またロックダウン、外出自粛によって感染者数のコントロールを徹底的にするべきなのか、それとも緩い規制によって社会経済への影響を最小限に抑えるべきなのか。正解を探すための根拠が必要です。そのためにも、正確なデータの把握と解釈が求められます。
上図は人口100万人あたりの死亡者数(5月24日現在)の比較です。全世界の平均値以上の国をあげています。(日本は6名)
赤丸がついている国は、死亡者数トップ10のうち、完全ロックダウンを実施した国家です。
6番目にあるのが、スウェーデン。
この国は緩やかなロックダウンを行なった唯一の国です。規制事項は、以下のものだけです。
・集会は50人まで
・人と約1.5m離れる
・美術館・博物館・スポーツイベントは中止
・シニアホーム面会禁止
・具合が悪い人、シニアは自宅待機
スウェーデンでは以下に見るように、規制はかなり緩やかでした。
- 休校・休園なし(高校と大学はオンライン授業)
- 飲食店営業規制なし(座席がある場合)
- 入国規制なし
- 移動規制なし
- 外出規制なし
- 公園閉鎖なし
- 美容院・ジム・一部映画館も通常営業
しかし、死亡者数が他の北欧各国と比較すると群を抜いて多いことから、スウェーデン国内でもこれまでの方針に反対する意見があることも事実です。上図の青三角印が北欧諸国を指しますが、スウェーデンの死者数は他の4カ国と比較すると突出して高いことも事実です。図に出ていないノルウェーは、世界平均以下の43名でした。
ロックダウンの是非を考える時に、上図の死亡者数だけで議論することはナンセンスです。社会活動停止による心理的ストレスなどによって、COVID-19以外の疾病による死亡患者数の正確な把握も必要です。米国からの報告では、自殺未遂の件数が過去4週間で、すでに過去一年間の件数に匹敵するレベル、すなわち12倍だそうです。
ロックダウンによってCOVID-19患者数を抑えることができるのは事実ですが、
一方では他の原因による死亡患者数を増やすリスクがあることを忘れてはいけません。