新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の生命予後と、
空腹時血糖(FBG)との関係が医学雑誌に報告されています。
この研究は、2020年1月24日~2月10日の期間、
中国の武漢市内の施設に入院していた
605名(平均年齢59.0歳、男性53.2%)の患者を対象に、
空腹時血糖値が生命予後にどのような影響を与えるかについて調べています。
患者の空腹時血糖値によって、
高血糖群、中等度群、正常群の3つの群に分けています。(下図)
調査期間中に114名(19%)の死亡が確認されています。死亡群と生存群を比較したところ、
死亡群はより高齢で(平均年齢:死亡例66.0歳 vs. 生存例56.0歳)
男性の割合が高く(68.4% vs. 49.7%)
既往歴を有する割合が高く(48.3% vs. 31.2%)
既往歴の中では、死亡群で脳血管疾患が多かった(6.1% vs. 1.8%)ということです。
さらに空腹時血糖値について見てみると、
高血糖群では、死亡リスクが、正常群と比較して、2.3倍上昇していました。
入院28日時点で合併症にかかるリスクについて調べたところ、
正常群と比較して、高血糖群では約4倍、中等度群では2.6倍、
合併症にかかるリスクが高いことがわかりました。
米国では、肥満患者や黒人での死亡率が高いことが注目されていました。
また糖尿病患者でも合併症や死亡率が高いことも知られています。
本研究はまだ糖尿病と診断されていない、糖尿病予備軍的な対象患者についての考察です。
結果から分かるように、糖尿病ではなくても、
血糖値が高いだけでも死亡率や合併症になる率が、大きく上昇していることがわかります。
COVID-19感染による重症化や死亡を防ぐためには、
普段から血糖管理を行っておくことが必要です。