COVID-19感染では、呼吸器障害が起きるだけでなく、重篤な心臓血管障害も併発することが知られています。サイトカインストームを引き起こす感染症では、血管内皮の炎症が起きるために、全身の臓器へのダメージも大きくなります。このため、炎症を抑制するようなコンディション作りが、新型コロナウィルス感染に対する防衛策となります。
魚脂には、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)と呼ばれる、オメガ3脂肪酸が多く含まれます。オメガ3脂肪酸に心筋梗塞予防効果があることが報告されたのは1960年代のことでした。グリーンランドの原住民、イヌイットとデンマーク人に起きる病気の種類の違いが疫学調査からわかったことが、オメガ3脂肪酸に注目が集まる始まりでした。
この当時イヌイットの食事はアザラシの生肉でした。動物性脂肪たっぷりのアザラシの肉を食べていても、気管支喘息や心筋梗塞の発症率がデンマーク人と比較してイヌイットでは大幅に低かったことは、その当時では大きな謎でした。
そこでアザラシの肉を調べたところ、その中にはイワシやニシンに多く含まれるEPAやDHAが大量に含まれていました。この発見からEPAが血栓を作ることを予防する働きがあることが知られるようになり、EPAは心筋梗塞予防の目的で摂取すべきという一般常識にまで広がったのです。
現在では、日本でもEPAやDHAをエチル化させた製品が医薬品として処方されています。2019年に公表された論文によれば、魚脂を摂取していたグループでは以下のような効能が見られています。
- 心臓血管死亡 ………. 20% 減少
- 心筋梗塞発症率 …… 31% 減少
- 脳梗塞発症率 ……… 28% 減少
- 狭心症による入院 … 32% 減少
夏は青魚の美味しい時期でもあります、魚を食べて、感染症に負けないコンディションを維持しましょう。