メラトニンは、脳の中心部に位置する松果体という器官から分泌される、睡眠を促すホルモンの一種です。メラトニンには睡眠導入以外にも、骨粗鬆症の予防、発がん予防、慢性炎症の軽減など、さまざまな効能があることが知られています。
約800名の気管内挿管を受けていた重症のCOVID-19患者について調べたところ、メラトニンの処方を受けた患者では、死亡者が13%にまで減少すること、すなわち死亡リスクが87%減少することが確認されました。こうした現象は、メラトニンが持つ抗炎症作用に起因するものと考えられています。
さらに、約26000名について調べた別の研究では、メラトニン服用者では、血清学的にCOVID-19陽性となる率が28%減少するとしています。この傾向は米国の黒人ではさらに大きくなり52%も減少するということです。なぜこのような減少が起きるのかについては諸説があり、確かな理由は不明です。
しかし基礎研究では、メラトニンがミトコンドリア内部のある種のタンパク質を増やすことによって、抗炎症作用をサポートすることが知られています。臨床でのメラトニンの効果はこうしたメカニズムによるものかもしれません。
メラトニンは人間だけでなく、多くの生物が利用しているホルモンの一つです。もともと体内で利用している成分ですので、サプリメントとして服用しても顕著な副作用はありません。COVID-19感染対策の一つとして、メラトニンを利用することをお勧めします。