玄米が体に良いことは広く知られてきています。当院でも昼食は玄米を炊いてスタッフと一緒に食べています。玄米から胚芽と外皮(ぬか層)を取り除いたものが白米ですので、白米を食べることは、胚芽や外皮に含まれる栄養素を摂取できないことになります。日本人の知恵の優れたところは、美味しい白米を食べて、しかも栄養失調にならない方法を考え出したことです。それが糠漬けです。
いうまでもなく糠とは玄米を白米にするときに出てくる余りものですが、読んで字の如く、米に健康の「康」と書くように、糠には米のもつ健康的な栄養成分が含まれていることがわかります。白米に糠漬けを食べることは、完璧とは言えなくても白米だけの食生活よりもはるかに健康的な食生活だったわけです。しかし、近年では糠漬けを作る家庭も減っているため、こうした日本人の知恵も失われつつあるだけでなく、健康面でのマイナスが増えてしまっているようです。
玄米のもたらす健康効果は海外でも注目されています。ハーバード大学の研究では、白米を玄米に置き換えることで、糖尿病のリスクが大幅に減少するだけでなく、LDLコレステロールの減少やメタボリック症候群で見られる炎症性マーカーを軽減できることが明らかにされています。
こうした健康効果は、玄米に含まれる多くのミネラルやビタミン、そして食物繊維に由来します。玄米に多く含まれるミネラルでは、マグネシウムが代表的です。またビタミンB1が豊富に含まれることはよく知られています。食物繊維が多いことで、玄米はGI値が低い代表的な食品です。GI値とはGlyceic Index の略称ですが、食品中に含まれる糖質の吸収度合いを示す指標です。わかりやすく言うと、GI値が高い食品を食べた時ほど血糖値は急激に上昇しますが、GI値の低い食品ではおだやかに上昇します。血糖値の急激な上昇はインスリンの過剰分泌につながり、内臓脂肪の増加から糖尿病へと進展してしまいます。
健康効果の高い玄米ですが、お米やさんで売られている玄米であれば、どれも安全かと言うとそうではありません。農薬を多く使って栽培された玄米では、外皮に残留農薬があるためヒ素などの有害金属を摂取してしまうことになります。当院でも健康のために玄米を食べていた患者様の毛髪から大量のヒ素が検出されたことがありました。玄米を選ぶ場合には低農薬栽培に留意した玄米を選んでください。