日本の素晴らしいところは、天然自然の恵みである食材が実に豊富であることです。中でも発酵食品の種類は1000種以上と世界でもこれほどの発酵食品がある国はありません。またナメコ、舞茸、シメジ、マツタケ、キクラゲ、シイタケなど、様々な種類の食用キノコ類にも恵まれています。こうしたキノコ類には免疫力を増強させる働きがあることが昔から知られています。
最近の研究でもシイタケを定期的に食することで、免疫力が上がることが報告されています。この研究では、21から41歳の健常な成人52名を対象に、乾燥シイタケを5gから10g、4週間にわたり毎日食べてもらい、免疫力の変化を調べています。
その結果、シイタケを毎日食した対象では、ガンマデルタT細胞、NK細胞、Ig-A分泌量の増加を認めています。これらの働きは以下のようなものです。
- ガンマデルタT細胞 …. 皮膚や粘膜を病原菌から守る。
- NK細胞 … natural killer T 細胞とも呼ばれ、細菌やがん細胞などを死滅させる。
- Ig-A …. 鼻腔や気道粘膜から分泌される抗体の一種で感染を予防する。
さらに、炎症があると上昇するCRPの値が減少し、炎症を抑える働きのある抗炎症性サイトカインが増える現象も見られています。これらは慢性炎症を解消できる働きがシイタケにあることを示唆しています。
今回の研究では、干しシイタケを使っていますが、マイタケなど他のキノコ類でも免疫力を上げる働きがあることはm、過去の研究で報告されています。こうした免疫増強作用がある原因は、キノコ類に含まれるβグルカンと呼ばれる成分の働きではないかと思われます。
干しシイタケ5gというと、通常の大きさのシイタケであれば1つの重さになります。この程度の分量であれば、毎日食することもさほど抵抗はないかと思います。
余談ですが、シイタケを食べるとビタミンDの補給ができるとされていますが、干しシイタケ1個、5gあたりに含まれるビタミンDは、わずか25IUです。1日あたり2000~5000IUのビタミンDが必要とされていますので、ビタミンD補充の目的でシイタケを食べることは至難の業です。またキノコ類に含まれるビタミンDはD2であり、人間が必要としているD3とは異なるものであることも知っておく必要があります。