6月25日から27日にかけて、第21回 日本抗加齢医学会総会が京都において開催されました。新型コロナの影響もあり、学会は直接参加とリモート参加の両方が可能なハイブリッド型で行われました。本総会で満尾正は、一般演題26の座長、ランチオンセミナーの座長、そしてシンポジウム25の座長と演題発表を行っています。それぞれのセッションの要旨をお伝えします。
一般演題26には、今話題のNMNを用いた臨床研究の発表がありました。20名ほどの被験者にNMNを12週間服用してもらった結果、握力の増強が見られたという内容でした。長期的に服用した場合の変化や服用量によって変化が期待できるものなのか、今後の研究成果が楽しみです。そのほかには、藻類の培養から得られた成分の「ペンタデシル」という新しい機能性成分や、ハイビスカスなど天然ハーブエキスのもたらす美容効果についての発表。また吸収効果を高めたミセル化されたアスタキサンチンやルテインについての研究。さらには漢方製剤である加味逍遙散による不妊治療効果についての治験が報告されました。(NMN:ニコチナマイドモノヌクレチド)
ランチオンセミナーは、整形外科医の大友先生による、キレーション治療と骨代謝についての発表でした。Ca-EDTAを用いた鉛の排泄を促進する治療が、加齢に伴う骨の病的変化を防ぐ働きがあるかもしれないという極めて興味深い内容でした。現代人は環境汚染の影響で様々な有害金属を体内に取り込んでしまっています。普段は気づかないのですが、検査によって比較的容易にその蓄積量を調べられる時代になりました。更年期以降の女性で血液中の鉛濃度が上昇することは文献的にも知られており、この原因が骨代謝にある可能性も指摘されています。
シンポジウム26は、「栄養で免疫アップ」というテーマで、ビタミンC、亜鉛、オメガ3脂肪酸、そしてビタミンDと免疫機能との関係についての発表とディスカッションがありました。COVID-19感染から身体を守る上でどの栄養素も欠かすことのできない重要なものであることが再確認されました。満尾正の講演内容(17分)はこちらからご覧いただきます。ウィズコロナ時代とも言われる昨今、いかにして免疫力を維持向上させるのかが、日常生活での重要な課題とも言えます。これらの栄養素が自分自身に足りているのか、そうでないのかを知ることが、はじめの一歩と言えます。