アイリシン(筋肉由来ホルモン)と認知機能

新型コロナの影響で運動不足になりがちですが、筋肉運動は免疫力を維持するだけでなく、認知機能の維持改善にも役に立つことが最新の研究で明らかにされています。

筋肉運動を行うと、筋肉からマイオカインと呼ばれるホルモン様物質が分泌されます。マイオカインには30種類以上あるとされていますが、このうちのアイリシンと呼ばれる成分と認知機能との関係が研究されています。

その結果、アイリシンにはアルツハイマー病で失われた神経機能を回復させる可能性があることがわかりました。この研究では、アイリシンを産生できないマウスの場合、運動しても認知機能の改善効果が見られなかったことから、アイリシンには神経機能回復効果があると推測しています。

アルツハイマー病や認知機能障害では、海馬と呼ばれる脳の一部に萎縮変化が現れますが、アイリシンには海馬の神経細胞の再生機能があることも指摘されています。今回の研究では、血液中のアイリシン濃度が高まることによって、アルツハイマー病モデルのマウスの神経の炎症を抑制できることも確認されています。

さらに興味深いことは、進行してしまったアルツハイマー病モデルのマウスにアイリシンを投与した場合でも、神経機能の回復効果があったということです。これは認知症の原因である、脳神経細胞の慢性炎症に対する画期的な治療方法となることを示唆しています。

体を動かすことで認知症を予防できる可能性が明らかになってきました。治療薬の出現を待つまでもなく、早速今日から、運動を薬だと思って行動を起こしたいものです。

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