緑茶の効用:心臓血管疾患予防

医学論文の中でも信頼度の高いとされるメタアナリシス研究によって、緑茶には心臓血管疾患予防効果があることが確認されました。この研究では、34本の論文をまとめて検証しています。いずれの論文も、緑茶を服用することによって、血管内皮機能、酸化LDL、CRPなど炎症性のマーカーがどのように変化するかを調べたものです。

その結果、緑茶を日常的に摂ることは、酸化ストレスや炎症性のマーカーを減らす効果があることが確認されています。さらに血圧を下げる作用も認められ、そのメカニズムは血管壁細胞の一酸化窒素(NO)を増やす働きによるものと考えられています。こうした効果は、EGCG(エピガロカテキンガレート)など緑茶に含まれる有用成分によるものと結論づけています。

それでは心臓血管疾患予防のために、EGCGなどの有効成分を抽出または濃縮したものを取れば良いではないかという発想も生まれます。しかしこれはあまり賢明な選択でないことが最新の研究で提示されています。この研究では、EGCGには抗酸化作用よりもむしろ酸化作用が強いのではないかと述べています。このためEGCGの抽出物や濃縮物を服用することでかえって身体には酸化ストレスが増えてしまうことを懸念しています。

少々難しい理論になってきましたが、わかりやすく言えば、EGCGを服用することは軽い運動をしているようなもので、身体に軽度の酸化ストレスを与えることで抗酸化作用を誘導するのではないかということです。いずれにせよ、緑茶を日常的に引用することは、心臓血管疾患だけでなく様々な病気を防ぐことが期待できます。

中国から薬として伝来した茶ですが、この時の茶は文字通り茶色の発酵茶でした。その後、日本人によって緑茶という形に変わることで、その薬効が一段と進化したことになります。

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