若年者ほどTV離れが進んでいるようですが、反対に高齢者ではTVの前に長時間座っているケースもまだまだ多いようです。しかし、最新の研究では、TVを視聴する時間が短いほど、心臓疾患に罹患するリスクも減少することが報告されています。
この研究は、約37万人の欧州人について、テレビ視聴時間、PC操作時間と冠状動脈疾患(CHD)との関係について調べています。CHDとは狭心症や心筋梗塞など、心臓の細胞に酸素や栄養を運ぶ血管に、狭窄などの変化が起きる疾患をさします。約13年間の調査期間中に、調査対象者のうちの2.4%にあたる約9000名がCHDに罹患しています。
TV視聴時間によって、4時間以上、2〜3時間、1時間以内の3つの群に分けてCHDに罹患するリスクを比較しています。その結果、4時間以上の群と比較して、2~3時間視聴する群では94%、1時間以内の群では84%にCHDに罹患するリスクが減少していました。
この傾向は遺伝的にCHDに罹患しやすい対象者では見られなかったことから、長時間TV視聴を行なうという生活習慣そのものがCHDに罹患するリスクを増やしていると言えます。一方PC操作時間とCHDに罹患するリスクとの間には相関が見られませんでした。
この研究結果からすると、CHDを予防する上では、TV視聴時間を1時間以内に制限した方が得策であるようです。興味深い点は、PC操作時間とCHD罹患リスクとの間に相関が見られなかったことです。これはTV視聴が受動的な活動であるのに対して、PC操作は能動的な活動であることの違いにあるのかもしれません。
ソファに座り、長時間にわたりTVを視聴し続けることは、心臓病のリスクを増やすことになりそうです。