糖尿病患者の数は、予備軍を入れると、全人口の20−30%に達し、過去20年間でほぼ2倍に増えているとも言われています。糖尿病の怖いところは、腎機能障害から透析になること、網膜の病変から視力を失うこと、さらには動脈硬化性血管疾患から心臓病や脳血管疾患になりやすいこと、発がん率の上昇、認知機能の低下などなど、挙げればきりがありません。
糖尿病の原因として糖質の過剰摂取が考えられていますが、過去50年間の日本人の糖質摂取量はむしろ低下しています。一方、摂取量が増えているものの代表が脂質です。このため、糖尿病の真の原因は糖質摂取過剰にあるのではなく、脂質摂取にあるのではないかという意見もあります。
最新の研究は、糖尿病の原因を突き止める上で、一つの答えを提供しています。結論としては、高脂肪、高果糖の食品摂取が、糖尿病の原因の一つではないかと述べています。即ち、ハンバーガー、フライドポテトに果糖の入った飲料という、現代社会で好まれている食品の組み合わせが、糖尿病になるリスクを増やしている可能性があります。
この研究では、糖尿病患者で増えることがある、グリセリン酸に注目しています。動物実験の結果、高脂肪食に果糖を加えると、腸内細菌の働きで大量のグリセリン酸が増えることを確認しています。グリセリン酸は、血糖値を下げるホルモンである、インスリンの働きを障害するだけでなく、インスリンを産生している膵臓の細胞の数を減らしてしまい、結果としてインスリンの分泌量を下げてしまうことも明らかにされています。
高脂肪、高果糖の食事は若年者の好物であり、外食産業の目玉の製品とも言えます。しかしこれらの食品を食べ過ぎることは、若年者においても糖尿病になるリスクを大きく増えやすことになりそうです。以前のブログでもご紹介した書籍「果糖中毒」にもあるように、異性化糖などの果糖を多く含む食品のリスクには十分注意したいものです。