睡眠時の照明と生活習慣病

あなたは就寝中、常夜灯のような部屋の照明をつけておくタイプでしょうか? それとも明かりは一切つけずに真っ暗にして眠るタイプでしょうか。もしも真っ暗にせず、少しの照明でもつけている習慣があるならば、肥満、高血圧、糖尿病といった生活習慣病になるリスクを増やしているかもしれません。

今年の6月に発表された論文では、対象者552名(63〜84歳、男女)について、就寝中の照明の有無と生活習慣病との関係について調べています。その結果、完全に暗い状態が最低でも5時間あるという対象者は、552名中の半数にも満たないことがわかりました。すなわち、対象者の半数以上が、睡眠中に真っ暗ではない、何らかの照明のある環境で休んでいることになります。

さらに対象者について調べたところ、睡眠中に何らかの照明をつけている人は、完全に暗くしている人と比較して、肥満である率が1.8倍、糖尿病は2倍、高血圧が1.7倍も多くなっていました。一方コレステロール値には、睡眠時間中の照明は影響を与えていないことが確認されています。

テレビを見ながら寝てしまう方もいるようですが、これは就寝時間中、継続的にテレビ画面からの光を浴びていることなり、最も健康に良くない習慣と言えます。就寝中にトイレに行きたくなった場合には、できるだけ暗めの明かりを足元に照らすようにすること、光色は青色や白色ではなく、暖色系の光を使用することが推奨されています。

光を感知する細胞は眼球だけでなく、大脳の表面にも分布していると言われています。光の刺激は睡眠を誘導するメラトニンというホルモンの分泌を妨げてしまいます。睡眠が障害されることによって睡眠中にしか分泌されない成長ホルモンと呼ばれる若返りのホルモン分泌も低下してしまいます。光刺激によるこうした変化が生活習慣病の発症と関連があると考えられます。睡眠中はできるだけ真っ暗な環境にすることが健康増進にとって重要なことです。

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