塩分摂取は高血圧から心不全の原因になるということで、厳しく塩分制限をされている方もおられるようですが、過度な塩分制限は、心臓にとって良くないことが最近の研究で明らかにされています。
この研究は年齢50歳以上の1713名の米国人を対象に行われています。食事中に食卓塩をふりかける量によって、以下のように4つのグループに分けて、3年間のフォローアップを行い、心臓疾患の予後について調べています。
- グループ1 … 食卓塩を全く使用しない
- グループ2… 茶匙 1/8 使用
- グループ3… 茶匙 1/4 使用
- グループ3… 茶匙 1/2 以上使用
調査の結果、対象者のほぼ半数にあたる816名がグループ1に分類されました。このうちの56%が男性で、81%が白人であったということです。このグループ1では他のグループと比較して有意に拡張期の血圧が低い傾向が見られました。しかしグループ1の対象者は、他のグループよりも心不全によって頻回に入院する傾向があり、糖尿病や腎不全を合併する割合も多いことがわかりました。この傾向は70歳以下の非白人に強いことも確認されています。
血圧の問題で医療機関を受診すると必ず受ける質問が、塩分摂取量についてです。このため塩分摂取量を過度に制限される方も多いようですが、今回の研究結果が示すように、場合によっては塩分制限が心不全症状を悪化させるリスクがあることも忘れてはいけません。
特に汗をかく夏の時期には、塩分も失われやすいので、適切な塩分補充が必要になります。補給する塩分は、ミネラル成分も含まれている天然塩、いわゆる粗塩をとるようにしたいものです。