暑中お見舞い申し上げます。(写真は先月の白糸の滝です)
夏本番、東京では早朝の気温がすでに30度を超えています。気温が30℃を超えてくると体温のコントロールが難しくなるために、熱中症にかかる確率が高くなります。コロナ対策も重要ですが、この時期は暑さ対策も忘れずに行ってください。
熱中症とは以下の状態をまとめて表現したものです。
- 熱痙攣(heat cramps):痛みを伴う筋肉の痙攣、こむら返り
- 熱失神(heat syncope):意識が朦朧とする状態、フラフラする状態
- 熱疲労(heat exhaustion):体温40℃近く、皮膚冷感、頭痛、虚脱感、嘔吐
- 熱射病(heat stroke):体温が40℃以上に上昇、発汗不能、意識障害、全身痙攣
熱中症を予防するためのいくつかの方法をご紹介します。 言うまでもないことですが戸外活動など高温環境での作業を行う場合には、あらかじめ水分補給することが必要です。屋外に出なくても、室内の温度が30℃ 近くにまでなる環境では、喉が渇く前に水分を補給することが大切です。尿の色が濃くなってきたら脱水のサイン、水分補給をこまめに行いましょう。
高温環境下では汗の中に様々なミネラルが失われてしまいます。このため水分と一緒に、塩分やマグネシウム、カリウムといった大切なミネラルの補充も忘れてはいけません。梅干しには、これらのミネラルの他クエン酸など、疲労回復に役立つ成分が多く含まれていますので、上手に利用したいものです。市販のスポーツドリンクには、糖質が多いものや、リン酸を添加したものもありますので、内容成分を十分に確認し、取り過ぎに注意してください。
近年の研究では、手のひらや足裏を冷却することが、深部体温を下げるために有効であることが分かってきました。寒い時には手のひらをストーブにかざします。また足湯をすることで全身が温まる効果があることはよく知られています。暑さ対策では、これと同じことを冷却水によって行ないます。手や足を冷たい水の中にしばらくつけておくだけでも、冷却効果を体感することができます。これは手のひらや足の裏の血管構造が他の部位とは異なり、動脈と静脈の吻合部分が多いため、熱交換機(ラジエター)の役割をしているためです。
スポーツ選手のコンディション作りには、体温管理が欠かせません。米国のスタンフォード大学で開発された深部体温を下げるための器械、<Cool Mitt >が日本でも発売されるようになりました。これはスポーツサイエンスに基づいた画期的な器械で、冷却水を循環させたグローブの中に手を入れることで、深部体温を低下させる効果があります。アスリートの熱中症対策にも役立つと思います。
暑さはまだまだ続きます。積極的な熱中症対策で2022年の夏を乗り切りましょう。
Web講演会のお知らせです。
歯科治療と健康について関心のある方は、今度の日曜日、8月7日に開催される講演をぜひ聴講されてください。
全身の健康は口から始まることを再認識できる良い機会だと思います。