赤身肉と心臓血管疾患

赤身肉の過剰摂取は様々な慢性疾患の原因となることが指摘されています。2017年に報告された研究では、毎日100gの赤身肉を摂取すると下記のような疾患のリスクが増えることが報告されています。

  • 脳血管障害、乳がん …. 11 % 増加
  • 心臓血管疾患(心筋梗塞など) … 15 % 増加
  • 大腸がん … 17 % 増加
  • 前立腺がん … 19% 増加

一方、ハムやソーセージな加工肉についても同様に、慢性疾患の罹患率を上昇されることが明らかにされています。肉類の摂取により、なぜこのようなありがたくない変化が起きてしまうのか、そのメカニズムについての研究が最近発表されました。この研究では65歳以上の米国人3931名について、約12年間に渡る調査を行ない、赤身肉の摂取量と心臓血管疾患との関係について調べています。その結果は下のようでした。

  • 心臓血管疾患の増加率
    • 赤身肉……………………………15 % 増加
    • 赤身肉+加工肉など…………22%  増加

魚肉、鶏肉、卵の摂取量と心臓血管疾患との関係は見られませんでした。さらに腸内細菌によって作られる代謝物について調べるとトリメチルアミン N-オキシド関連代謝物(TMNM)の産生量は、以下のように増加していました。TMNMの増加は酸化ストレスを増やし心臓血管疾患のリスクを高めると考えられています。

  • TMNMの産生量
    • 赤身肉 ……………………… 10.6 %   増加
    • 赤身肉+加工肉など ………7.8%  増加

さらに興味深いことは、心臓血管疾患のリスクとして、血糖値、インスリン値、CRP値が考えられましたが、血圧や血中コレステロール値はリスクではなかったとしています。

赤身肉には鉄分や亜鉛などの必須ミネラルも含まれており、貴重な栄養源です。しかし、赤身肉を得るために使われる穀物資源の量を考えると、SDGsに合致した食料とは言えません。がんや心臓血管疾患の予防のためにも、赤身肉などの摂取は控えめにすることをお勧めします。

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