コエンザイムQ-10の効用

コエンザイムQー10 (COQ-10) は細胞内で作られている抗酸化物質の一つですが、加齢と共に産生量が減少してしまうことが知られています。COQ-10の減少は細胞のエネルギー産生器官であるミトコンドリアの働きを阻害してしまい、加齢に伴う様々な機能障害の原因になると考えられています。

最新の研究でも血中のCOQ-10濃度が高い人ほど心臓血管疾患が少ないことが報告されています。さらに、COQ-10濃度が高い人ほど、筋肉量や筋力の低下が少ないとされています。著者らは、COQ-10を高い濃度に維持した上で運動をすることが、サルコペニアと呼ばれる筋肉量減少を防ぐ上で効果があると述べています。

COVID-19感染についても、Long COVIDと呼ばれる、感染後の長引く体調不良の原因の一つに、細胞内のCOQ-10が減少することがあげられます。最新の研究報告でも、COVID-19感染患者の血小板中のCOQ-10が減少していることが明らかにされています。高齢者や肥満者でCOVID-19感染率が高いことも細胞内COQ-10濃度が低下していることが原因かもしれません。

COQ-10を多く含む食品の代表は、イワシなどの青魚です。植物由来のものでは、ナッツ類に比較的多く含まれます。また上質なオリーブオイルにも多く含まれているとされ、これがオリーブオイルがもたらす健康効果の理由のひとつとも言われています。

COQ-10は、コレステロールを作る酵素(HMG-CoA還元酵素)と同じ酵素の働きによって肝臓で産生される物質です。内科治療で汎用されているコレステロール低下剤(スタチン製剤)はこの酵素の働きを阻害しますので、コレステロールが劇的に下がりますが、同時にCOQ-10を作る過程もブロックされてしまうため、COQ-10濃度も下がってしまいます。このためスタチン製剤を服用している方では、COQ-10減少による様々な副作用が起きるリスクがありますので、サプリメントによってCOQ-10を補填することが推奨されています。

COQ-10の細胞内濃度は、下図に示すように、20歳頃をピークに加齢ととともに減少してしまいます。また臓器による濃度の違いもあり、心臓や腎臓のCOQ-10の減少率は他の臓器よりも大きくなります。これらの臓器のリスクを抱えている方はCOQ-10を積極的に接種することがお勧めです。1日あたり100~300mg以上が補充量の目安です。

Crit Rev Food Sci Nutr. 2010 Apr;50(4):269-80. 
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