屋外散歩の効用

運動が脳の認知機能を向上させることは、これまでの研究で明らかにされています。しかし、屋内と自然環境のある屋外、どちらで運動することが望ましいことなのかについては、よく知られていませんでした。

最新の研究では、同じ15分間の運動をした場合、屋外、なかでも自然環境での運動の方が、脳の認知機能にとってはより大きなメリットがあることが確認されています。

この研究では、平均年齢21歳の男女30名について、屋内外での運動前後の、認知力テストや脳波測定を行い、認知機能の変化について調べています。その結果、15分間の運動を屋外で行なった場合に得られた認知機能の改善傾向が、屋内での運動後には得られなかったことがわかりました。詳細は下記の図のようになっています。

Sci Rep 13, 1140 (2023)

図1は、テストに対する反応時間を示しています。反応時間が短いほど、認知機能が優れていることを意味しますが、屋外運動後の方が反応時間が短くなっています。図2はテストに対する回答の誤答率を比較しています。室内運動後には誤答率が上昇してしまっていますが、屋外運動後には誤答率が大幅に減少していることがわかります。

室内での運動もメリットは多々ありますが、本研究の結果が意味するものは、屋外、特に自然環境の中での運動の方が、視覚、聴覚、嗅覚など、様々な感覚神経を使うことによって、脳の働きを刺激している可能性があることです。  

自然環境の中を散歩することの効用は誰もが感じていることだと思います。大寒の時節、まだまだ寒い日が続きますが、陽気が戻ってきたならば、是非とも自然環境の中の散歩や運動を始めることをお勧めします。

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