オメガ3脂肪酸は腎機能を守る

腎機能を維持することは健康管理の上で最も重要なことですが、残念ながら腎機能を維持、回復することができる医薬品はいまだに開発されていません。腎機能を維持するためには、食生活を中心とした日常の生活習慣に頼るしかありません。

最近発表された研究では、魚介類由来のオメガ3脂肪酸であるEPA、DHA、DPAの血中濃度が高いと、慢性腎臓病(CKD)の発症リスクが低下する傾向があることが報告されています。この研究は、19本の論文を検証したメタアナリシスによるもので、25,570人の男女のデータを解析し、4種類のオメガ3脂肪酸、ALA、EPA、DHA、DPAの血中濃度と腎機能との関係について調べています。

約11.3年間の追跡調査の結果、4,944人(19.3%)にCKDが発生しました。解析結果では、魚介類由来のオメガ3脂肪酸の値が高いほど、CKDの発症リスクが8%低くなることがわかりました。また、腎機能の低下も緩やかであることが確認されています。オメガ3脂肪酸を魚介類から摂取しているグループを、その血中濃度によって5群に分けたところ、血中濃度が最も高い群は最も低い群と比較して、CKDになるリスクが13%も低かったことがわかりました。しかし植物由来のオメガ3脂肪酸(アルファリノレン酸)を摂取しているグループではこの傾向は見られませんでした。

EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)は、広く知られるようになっていますが、ALA(アルファリノレン酸)やDPA(ドコサペンタエン酸)は、あまり馴染みのない名称かもしれません。ALAは亜麻仁油、クルミ、ヘンプオイルなどに多く含まれていますが、少量では体内で十分な効果を得ることが難しいとされています。DPAはEPAとDHAの中間産物であり、魚介類摂取により補充が可能なオメガ3脂肪酸の一種になります。

CKDは、最終的には健康や生活の質に深刻な影響を与える腎不全に進行する可能性があるだけでなく、心血管疾患や死亡のリスクも高くなる危険な状態です。魚由来のオメガ3脂肪酸を日頃から積極的に摂取しておきたいものです。

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