ビタミンDで心房細動予防

心房細動は、成人の不整脈の中で最も多いものであり、重症化すると血栓形成から脳梗塞の発症につながります。近年ではアブレージョンと呼ばれるカテーテル治療が心房細動治療に応用されるようになり、以前よりも治療方法の選択肢は増えています。

しかし可能であるならば、心房細動を予防する方法に頼りたいものです。最新の研究は、ビタミンD3をサプリメントとして摂取することで、心房細動の発症を有意に減少させることができることが明らかにされています。

この研究は、フィンランドで2012年から2018年にかけて行われたものです。この5年間にわたる研究には、60歳以上の男性または65歳以上の女性の2,495人が参加し、プラセボグループと2つのビタミンD3補充グループにランダムに割り付けられています。ビタミンDを摂取した2群は、1日40マイクログラム(1600 IU)のビタミンD3を摂取した群と、1日80マイクログラム(3200 IU)を摂取した群とに分けられています。

1年後、40 μgグループの血中ビタミンD濃度は40 ng/mL、80 μgグループでは48 ng/mLでした。プラセボグループでは血中ビタミンD濃度に有意な変化は見られませんでした。5年間の調査期間中、190人の参加者が心房細動と診断されましたが、プラセボグループで76人、40 μgグループで59人、80 μgグループで55人でした。プラセボグループと比較して、40 μgグループでは心房細動のリスクが27%、80 μgグループでは32%低下しました。これらは統計学的に有意な変化でした。

本研究は、健康な男女において、ビタミンD補充が心房細動のリスクを低下させることを最初に明らかにした臨床試験です。比較的大量のビタミンD摂取によって心房細動予防効果が認められたことは極めて意義のあることです。

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