緑で若返る

都市公園や緑地は、人間の生活にとって欠かすことのできないものです。暑さを和らげ、生物多様性を促進し、都市のジャングルにおいて精神的な癒しの空間を与えてくれます。最新の研究では、緑地の近くに住む人は、そうでない人と比較して、生物学的年齢が2.5歳若いということが明らかにされています。

過去の研究では、緑地の存在は心臓血管疾患の予防効果や死亡率の低下につながることが知られていました。今回の研究では、老化を示唆する現象である、DNAのメチル化の程度を基準として、住居環境と老化現象との関係について調べています。

対象は、アメリカの4つの都市、バーミンガム、シカゴ、ミネアポリス、オークランドに住む、900人以上の白人と黒人を1986年から20年間にわたり追跡調査しています。研究チームは、衛星画像を使用して、参加者の住所が周囲の植生や公園からどの程度の距離かを評価し、研究の15年目と20年目に採取された血液検査と組み合わせて、対象者の生物学的年齢を推定しました。

その結果、居住地の5キロメートル(3マイル)半径内の面積中、30%以上が緑で囲まれている人は、20%の緑で囲まれている人に比べて、生物学的年齢が平均して2.5歳若いことがわかりました。人種別に見ると、緑地により多くアクセスできる黒人は、1歳若く、白人は3歳若い傾向がありました。

ヒッポクラテスの箴言、「人間は、自然から離れれば、病気に近づく」を思い出させてくれた研究です。現代科学の進歩は、なんでもコントロールできるかのような錯覚を与えているかもしれませんが、人間自身が自然界の一部であることを忘れてはいけません。暑い夏がやってきますが、緑の自然の中で過ごす時間を維持したいものです。

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