慢性炎症は認知症や心臓血管疾患など様々な疾病の原因となります。このため炎症を避けることは、健康長寿のために欠かすことのできないプロセスです。この炎症を抑える働きのある栄養素の代表が、ビタミンDです。これまでも様々な研究によって、ビタミンDが高いと炎症のレベルが低くなることが報告されています。
最新の研究では、アイルランドの高齢者集団において、血中ビタミンD濃度と炎症反応の指標であるC反応性蛋白(CRP)との関係が明らかにされています。この研究では、50歳以上のアイルランドの住民5,381人を対象に、25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)とCRP濃度との関係について調べました。その結果は下のグラフに示すように、ビタミンD濃度が高いほど炎症反応が低い傾向がみられました。
炎症は加齢に伴う慢性疾患の原因の一つです。ビタミンDを積極的に増やすことが、炎症を抑制することを示唆する新たな研究結果も報告されています。ビタミンD状態を最適化することは、高齢者において、炎症を抑制するための低リスク・低コストの効果的な手段と言えます。
ビタミンDの重要性に関する認識は、ますます広がって来ています。今度の日曜日、9月10日にはビタミンD研究の世界的権威であるHolick教授の講演会がWebで開かれます。同時通訳付きです。当院の関係者、またはこのブログを見たと言っていただければ、どなたも参加可能です。滅多にない貴重な機会ですので是非ともご参加ください。