アスタキサンチンは、藻類や酵母に含まれる天然のカロテノイドであり、その効果は脂溶性の抗酸化成分としての働きが知られています。食品では、鮭や鯛、エビやカニの甲羅に多く含まれます。鮭は白身の魚ですが、藻類を食べることによってアスタキサンチンを体内に蓄えていることによって赤い身となっています。エビやカニの甲羅を茹でると赤く変色するのは、タンパク質と結合していたアスタキサンチンが熱によって結合が取れ、本来の色が出るためです。
初秋は鮭が生まれた川へ遡上する時期ですが、河口にたどり着いた鮭は遡上という一大事業を成し遂げるために、抗酸化成分のあるアスタキサンチンを体いっぱいに蓄えていることが特徴です。遡上が終わり産卵を終えた鮭の体は無惨までに白く変色してしまい、その一生を終えることになります。メスの鮭の身にあったアスタキサンチンは筋子の中へ移動し、今度は鮭の子供を守るという任務を果たすことになります。
アスタキサンチンはカロテノイドであり、細胞をフリーラジカルや酸化ストレスから保護する、抗酸化力を持つ脂溶性の色素です。カロテノイドは、細胞膜の内外の活性酸素を中和する能力を持つことが知られています。
アスタキサンチンが人間にもたらす効果についての研究も数多くあります。中でも目の健康を守る働きは広く知られています。近年では、紫外線による皮膚障害や血管老化の予防、さらには加齢に伴う認知機能低下の予防など、抗酸化作用の働きが注目されています。さらにアスリートの筋肉疲労の回復効果も期待されています。
抗酸化作用を持つアスタキサンチンですが、藻類によって作られる成分ですので、シーフードアレルギーのある方は摂取する際には十分な注意が必要です。服用量は、アスタキサンチンとして、1日あたり4mgから12mgまでが適量とされています。鮭や鱒などの魚が苦手な人は、サプリメントとしてアスタキサンチンを補給することをお勧めします。