ビタミンKの働き

ビタミンKは脂溶性ビタミンの一種であり、1930年頃に血液凝固に関与する栄養素として発見されています。その働きが詳しく解明されたのは1970年代ですので、栄養医学の世界では、長い間謎の栄養素でもありました。

ビタミンKには、1〜5までの5種がありますが、中でも重要なものは、K1とK2になります。ビタミンK1は緑黄色野菜に多く含まれるもので、K2は発酵微生物の働きでK1から作られます。中でも納豆菌は多くのビタミンK2を産生することが知られています。

ビタミンKが、血液凝固のために必須の栄養素であることは古くから知られていましたが、近年では骨粗鬆症や動脈硬化の予防のために必要な栄養素であることが明らかにされています。ビタミンKは腸内細菌によって産生されているので食品として摂取する必要はないという考え方がありましたが、腸内細菌によって作られるビタミンKは小腸末端部よりも先であるため吸収されにくいことから、この考え方は否定されています。

血栓形成を予防する目的で使用される医薬品には、ビタミンKの働きを阻害することが目的のものがあります。最新の研究ではこうした医薬品(VKA)を服用することのリスクが報告されています。この研究は、35本の研究論文を解析したメタアナリシスですが、約4.5万人を平均2.3年間フォローアップしています。対象患者の平均年齢は66歳、77%が男性でした。その結果、VKAを服用した患者では、大動脈や頸動脈など末梢動脈の石灰化リスクが1.86倍高くなること、また大動脈弁の石灰化のリスクが3.1倍に増加することが明らかにされています。

動脈の石灰化を防ぐ働きのあるビタミンKの働きを阻害することは、当然の結果として石灰化の進行を促進してしまったと推測できます。ビタミンKの働きには、抗がん作用や糖尿病予防効果など、まだまだ未知の部分も多々あります、今後の研究成果が待たれるところです。

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