ビタミンDとマグネシウム

秋が深まるにつれて日照時間も短くなって来ました。この季節から軽いうつのような症状を訴える方も増えてきます。これは日照時間の減少に伴い血中のビタミンD濃度が低下するためとも言われています。冬の準備のためにもビタミンDを積極的に補いたいものです。

しかし患者さんの中には、ビタミンDだけを補充しても症状の改善が十分に得られない方もおられます。こういう方では、マグネシウム不足を考えるべきです。なぜならビタミンDとマグネシウムは、車の両輪のようにお互いを支え合って働く重要な栄養成分であるからです。

十分なビタミンDがないと、腸管からのマグネシウムの吸収が効果的に行われません。一方マグネシウムは、ビタミンDを活性化するために欠かせない栄養素です、さらにビタミンDの体内の運搬にもマグネシウムが関与していることが知られています。ある研究は、収縮期血圧の上昇がビタミンD濃度の低い人で起こりやすいこと、さらにマグネシウムの摂取量が多いほど、ビタミンDの高血圧予防効果が高くなることを指摘しています。

別の臨床研究では、ビタミンD欠乏症の健康な中年女性83人を、週1回50,000IUのビタミンDと1日250mgのマグネシウムの組み合わせを8週間摂取する群と、プラセボを摂取する群に分けて臨床症状の変化を観察しています。その結果、ビタミンDとマグネシウムの両方を投与した群(D+Mg群)では、プラセボ投与群に比べ、握力と全身の運動能力が有意に向上したことを確認しています。 さらにD+Mg群では、主要な炎症マーカーが試験開始時に比べて減少していたということです。

ビタミンDの不足は血液を調べればわかりますが、マグネシウム不足を血液データだけから推測することは簡単ではありません。症状などから判断するしかありません。普段から緑の濃い野菜類や抹茶などを十分に摂取している方では、マグネシウム不足になる可能性は低いと言えますが、反対に外食が中心でストレスの多い生活を送っている人ではマグネシウムが不足している場合が多くなります。

季節の移り変わる時期には、体調を崩す方も増えてきます、ビタミンDとマグネシウムを十分に補給してこの冬を乗り切りましょう。

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