加工食品と小児の健康

「Ultra-processed food(超加工食品; UPF)」とは、工業的な加工が多く施された食品を指します。これらの食品は、通常、自然の原材料からかけ離れた成分を含んでおり、高度に精製された食材や添加物が多く使われています。UPFの例としては、以下のようなものがあります。

  • スナック菓子やクッキー
  • 炭酸飲料やエナジードリンク
  • 即席麺や冷凍食品
  • 加工肉製品(ソーセージ、ハムなど)
  • 朝食用シリアル
  • 市販のパンや菓子パン

これらの食品は、多くの場合、高糖分、高脂肪分、高塩分の傾向があり、また、人工甘味料、保存料、着色料、香料などの添加物が多く含まれています。製造過程での加工度が高いため、栄養価が低く、カロリー密度が高くなる傾向があります。

UPFを頻繁に摂取すると、成人において心臓血管疾患のリスクが増えることが指摘されていますが、就学前の小児の場合に、どのような健康上の変化が起きるかについては詳しく知られていませんでした。しかし、最新の研究では、UPFを多く食べる子供では、成人の場合と同じように、心臓血管疾患につながる代謝の変化が起きることが明らかにされています。

この研究は、スペインで行われたもので、3~6歳の未就学児1426名について調べています。その結果、UPF摂取量が多いと、肥満になる傾向が強く、空腹時血糖が上昇し、HDLコレステロール値が減少する傾向が多くみられました。一方、100gのUPFを同量の未加工または最小限の加工食品に置き換えると、肥満度、空腹時血糖値の減少傾向が見られました。

UPFの消費量が多い子どもの母親の特徴は、年齢が若く、過体重または肥満である可能性が高く、教育レベルと就業率が低い傾向がありました。食と健康に関するリテラシーの不足が、生まれてきた小児に対して大きな影響を与えていることがわかります。

UPFを食べてはいけないと言っているのではありません。あくまでもその量と頻度を考えながら日々の食生活を組み立てることが重要と考えます。

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