魚脂の健康効果については、こちらのブログでもたびたびご紹介していますが、最新の研究では、高齢者でみられるフレイルを魚脂が予防できる可能性を指摘しています。
この研究は、食事データのある65歳以上の成人79,330人と、血漿脂肪酸データのある18,802人を含むUK Biobank(英国の生体調査データバンク)を解析し、フレイルと魚脂(EPA,DHA:n-3 PUFA)の血中濃度との関係について調べています。魚脂の摂取量は食物摂取頻度調査票により収集しています。
この研究におけるフレイルとは、体重減少、握力の低下、疲労感、歩行速度の低下、身体活動の低下などについて調べたCardiovascular Health Study indexを用いて定義しています。
その結果、フレイル有病率は、n-3 PUFA値と逆相関しており、魚を週に2回以上食べる群では、全く食べない群と比較して約40%ほどフレイルになるリスクが減少していました。また魚脂をサプリメントで服用している群についても、フレイルになるリスクは約30%減少していました。
魚脂に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)はオメガ3脂肪酸の代表的なものです。その働きは、心臓血管系疾患、認知症、慢性炎症、眼病、皮膚疾患など様々な疾患の予防効果があることが報告されています。
今回の研究でも高齢者で多く見られるフレイルを予防できる可能性が指摘されていました。魚脂に含まれるEPAやDHAが、神経や筋肉に働きかけて老化に伴う炎症による障害を軽減したことが、フレイルを予防するメカニズムだと考えられます。