内臓脂肪の増加は、糖尿病、動脈硬化、高血圧、慢性炎症性疾患など、全身状態にとってありがたくない様々な状態を作り出します。増やしたくない内臓脂肪を減らすにはどうしたら良いのでしょうか。一つの手がかりを示した研究報告がつい最近発表されました。
その方法とは、抗酸化作用を持つ栄養素を積極的に摂取することです。この研究では、2011〜2018年までの米国国民健康・栄養調査に登録された成人10,389人について、食事から摂取される抗酸化成分の総量と内臓脂肪の面積との関係について調べています。参加者の平均年齢は39.7歳、(20~59歳)、5240人が男性、そのうち37%にあたる3841人が非ヒスパニック系白人でした。
食事から摂取される抗酸化成分の総量を示す、抗酸化指数(CDAI)は、亜鉛、セレン、総カロテノイド、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの6つの微量栄養素から算出されています。一方、内臓脂肪面積は放射線を利用したDXA scanによって検出しています。
その結果、CDAI値が上昇するほど内臓脂肪面積が減少する傾向が確認されています。すなわち、亜鉛やセレン、ビタミンCやAなどの抗酸化作用のある栄養素を多く摂取するほど、内臓脂肪の蓄積を防ぐ可能性が期待できるということです。
内臓脂肪の役割は非常時エネルギータンクのようなものであり、飢餓状態の時に必要な栄養源を供給するためにあります。現代人は飢餓状態になることはほとんど無いために、内臓脂肪は溜まる一方になってしまいます。内臓脂肪の過剰蓄積は、糖尿病、心血管疾患、代謝性脂肪肝疾患、およびある種の癌の危険因子の増加と関連しています。抗酸化の栄養素補給によって内臓脂肪の蓄積を減らすことが重要です。