肥満は世界人口の16%、約8億9000万人が抱える重大な健康問題で、WHOもその深刻性を指摘しています。一方、韓国の伝統食品であるキムチには抗肥満効果が期待されており、韓国の世界キムチ研究所はその効果に関する研究を進め、国際的な学術誌で成果を発表しています。
近年の研究では、キムチの定期的な摂取が体脂肪の減少に有効であることが確認されています。例えば、動物実験ではキムチ食によって体脂肪が31.8%減少しました。また、韓国ゲノム疫学研究(KoGES)の13年間のデータ分析では、中年男性において適切なキムチ摂取がBMIを15%減少させ、肥満率を12%低下させることが示されました。
さらに、2024年に発表された臨床試験では、BMI 23~30の男女55名が3か月間キムチカプセルを摂取した結果、体脂肪が2.6%減少し、対照群の4.7%増加と比べて有意な差が確認されました。この試験では、腸内細菌の分析も行われ、キムチ摂取により有益な腸内細菌であるAkkermansia muciniphilaが増加し、肥満に関連するProteobacteriaが減少しました。
これらの結果は、キムチの継続的な摂取が腸内細菌叢を調整し、肥満症状の改善に寄与することを示しています。キムチに含まれる乳酸菌や発酵食品特有の成分が腸内環境を整える可能性があると考えられます。世界キムチ研究所のチャン所長は、キムチの抗肥満効果に加え、胃腸の健康改善や免疫増強、抗がん効果の研究も進め、キムチを世界的な健康食品として普及させる努力を続けると述べています。
また、2020年に韓国では11月22日を「キムチの日」と公式に定め、国内外でキムチフェスティバルが開催されています。この記念日はキムチの健康効果を広く認知させる取り組みの一環であり、アメリカやイギリス、アルゼンチン、ブラジルでもイベントが行われています。キムチが持つ健康食品としての価値は今後さらに注目され、普及が進むと期待されています。
日本でもキムチは人気の発酵食品です。焼き肉料理と一緒に食べることで腸内環境の劣化を防ぐことができると言われています。また納豆菌とキムチに含まれる乳酸菌との相性は抜群であり、それぞれの働きを強める効果があるとも言われています。