本日は、前回に引き続き、講演のために来日したDr. Greenによる症例報告の内容をご紹介します。
今回の講演では、キレーション治療を受けた複数の患者の詳細な経過と治療効果が示されましたのでその概略を下にまとめました。
- 患者Aは、カルシウム-EDTA点滴による診断で重金属汚染が疑われたケースです。10回以上のキレーション治療の結果、鉛やカドミウムなどの重金属排出量が安全域にまで減少しました。
- 患者Bは、大腸癌治療で使用したプラチナ製剤による高い重金属負荷が確認されましたが、キレーション治療により改善が見られました。当院では、抗がん剤や造影剤由来の金属が体内に長期間残存する事例も確認されています。
- 患者C(81歳、末梢動脈疾患)は、ナトリウム-EDTA治療により足首上腕血圧比(ABI)が大幅に改善し、末梢循環が向上しました。ABI値の低下は下肢血流阻害を示しますが、キレーション治療は動脈硬化性疾患に有効であることが示唆されました。
- 患者D(76歳から治療開始、加齢黄斑変性症)**は、プロカインやビタミンCの注射療法、カルシウム-EDTA、DMPS、紫外線B/オゾン自家血療法などを実施。視力の安定と疾患進行の完全停止が確認され、現在90歳でも視力に変化なく生活の質を維持しています。
- 患者E(48歳男性)は、慢性疲労と高水銀負荷の症状があり、DMPSおよびDMSA治療によりエネルギーレベルが向上し、通常の運動量を回復しました。また、大好物のマグロ摂取を控えたことが治療効果を高めたと考えられます。
- 患者F(潰瘍性大腸炎)は、自然療法とキレーション治療を組み合わせることで腸の炎症が寛解し、薬物治療の必要がなくなりました。
- 患者GおよびH(冠動脈疾患)は、それぞれ30回および40回のナトリウム-EDTA治療を受け、心機能や冠動脈石灰化スコアの著しい改善が得られました。
これらの症例は、キレーション治療が重金属排出、血管疾患、および慢性疾患の改善に有効である可能性を示唆しています。特に、加齢や環境要因に起因する疾患への応用が期待され、さらなる臨床研究の必要性が強調されます。