ビタミンKが肺の健康にどのような影響を与えるのかを調べるため、デンマークで24~77歳の一般住民4,092人を対象に健康調査が行われました。この調査では、ビタミンKの状態を示す指標(dp-ucMGP)を測定し、生活習慣や健康状態を質問票で確認するとともに、肺活量の検査も行われました。
その結果、ビタミンKの状態が低い人(dp-ucMGPが高い)は、肺機能が低下していることがわかりました。具体的には、1秒間に吐き出せる息の量(FEV1)が平均98 mL少なく、肺活量(FVC)が136 mL少ないことが確認されました。また、ビタミンKの濃度低い人は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクが2.24倍、喘鳴(ぜんめい)が1.81倍、喘息が1.44倍高くなることが明らかになりました。ただし、気道の閉塞具合を示す指標(FEV1/FVC比)との関係は見られませんでした。
これらの結果から、ビタミンKが不足すると、肺の換気能力が低下したり、COPDや喘鳴、喘息といった呼吸器疾患のリスクが高まることが示されました。ビタミンKは、肺組織の石灰化を抑える役割があり、肺の健康を維持するために重要だと考えられます。この研究は、ビタミンKの摂取を増やすことで、呼吸器疾患の予防や管理に役立つ可能性があることを示唆しています。
ビタミンKは血液凝固や骨の健康を保つために重要な栄養素であり、日常の食生活で効率的に摂取することが大切です。ビタミンKには主に2種類あり、緑色野菜に多く含まれるビタミンK1(フィロキノン)と、納豆やチーズ、卵黄などの発酵食品や動物性食品に含まれるビタミンK2(メナキノン)があります。また、ビタミンKは脂溶性ビタミンであるため、油と一緒に摂取することで吸収率が向上します。例えば、オリーブオイルを使ったサラダやほうれん草のバター炒めなどが効果的です。
食事からの摂取が難しい場合は、サプリメントを活用する方法もありますが、特に抗凝固薬を服用している場合は医師に相談することが必要です。日々の食生活でバランスの取れた食事を心がけることで、ビタミンKを含むさまざまな栄養素を適切に摂取し、健康を維持しましょう。