ビタミンDで認知症予防

ビタミンD欠乏が認知症発症に関連しているという報告がある一方で、ビタミンDを補充することの有効性は未だ明らかにされていませんでした。しかし最新の研究では、認知症未発症の12,388人を対象に、ビタミンD補充と認知症発症との関係について調査した結果が報告されました。

この研究では、対象者をビタミンD補充を受けた群と受けなかった群に分け、認知症未発症期間を比較しています。さらに年齢、性別、教育水準、人種、認知機能状態、抑うつ状態、アポリポタンパクE(APOE)ε4の有無などのアルツハイマー病のリスク因子を調整した上で発症率の違いを分析しました。

その結果、ビタミンD補充は認知症未発症期間の延長と関係があり、認知症発症率を40%ほど低下させることが分かりました。特に、ビタミンDの効果は性別、認知機能状態、およびAPOE ε4の有無による違いが認められ、女性、正常認知の参加者、APOE ε4非保有者で効果が顕著でした。この結果は、ビタミンDが認知症予防において重要な役割を果たす可能性を示唆しており、特にリスクの高い群における介入として期待されます。

本研究の結果は、認知症の予防戦略としてビタミンD補充の可能性を示す重要な知見を提供しており、特に性別や遺伝的要因がビタミンDの効果に影響を及ぼす点が注目されます。

ビタミンDの血中濃度が一年中で最も低下する時期が1〜2月にかけてです。この時期にインフルエンザなどの感染症が流行する理由として、気温の低下とビタミンDの欠乏が考えられています。今回ご紹介した論文は高齢者の認知症予防のためのビタミンD摂取ですが、若年者にとってもビタミンDは必須の栄養素ですので積極的に補充したいものです。

本日の論文の要旨です。

  • 12,388人を対象とした前向きコホート研究
  • ビタミンDが認知症発症率に与える影響を評価
  • ビタミンD補充は認知症発症率を40%低下させると結論
  • ビタミンDの効果は、男性よりも女性で有意に大きかった
  • APOE ε4非保有者が保有者よりもビタミンDの効果が有意に大きかった
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