熟成黒ニンニク抽出物(ABGE)は、健康維持に役立つ成分を豊富に含んでいます。特に注目されるのがS-アリルシステイン(SAC)という成分で、強力な抗酸化作用があり、体内の酸化ストレスを減らすことで血糖値やコレステロールの調整に役立ちます。さらに、カテキンやガロタンニン酸といったポリフェノール類も豊富で、これらは抗酸化作用に加えて抗炎症作用も発揮し、生活習慣病の予防にも効果が期待されています。
熟成の過程で増えるアミノ酸は、免疫力の向上や代謝の促進に寄与します。また、ジアリルジスルフィドなどの硫黄化合物には抗菌作用や免疫調整作用があり、ビタミンC、ビタミンB群、カルシウム、マグネシウムといった栄養素も含まれているため、全身の健康維持に適した食品と言えるでしょう。
これらの成分が相互に働くことで、ABGEは抗酸化、抗炎症、抗腫瘍、免疫強化といった多面的な健康効果を発揮すると考えられています。特に注目されているのが、前立腺がんや慢性炎症に対する保護効果です。慢性炎症は前立腺がんのリスク要因の一つとされており、ABGEの効果を調べるために前立腺への影響が研究されました。
マウスを用いた研究では、大腸菌由来のリポポリサッカライド(LPS)によって引き起こされた前立腺の炎症モデルを使い、ABGEの抗炎症作用を確認しました。その結果、炎症の指標となるCOX-2、NF-κB、TNF-α、IL-6といった遺伝子の発現が抑えられることが明らかになりました。また、前立腺がん細胞に対する実験では、ABGEが細胞の増殖や移動、腫瘍形成を抑制する効果が確認され、抗がん作用の可能性が示唆されています。
これらの研究結果から、ABGEは前立腺の健康維持に貢献するだけでなく、将来的には前立腺がんの予防や治療補助としての利用も期待されています。今後の研究により、炎症やがんの管理における新たな可能性が広がるかもしれません。
昨日のYahoo Newsに、疲労予防とニンニクの関係についての記事が掲載されました。満尾正も食事に関するコメントを寄せていますので、ぜひご覧ください。