加齢による血中アミノ酸の変化

年をとると、筋肉が減ったり、筋力が弱くなったりする「サルコペニア」という状態が起こりやすくなります。サルコペニアが進むと、歩きづらくなったり、転びやすくなったりして、さらに「フレイル」と呼ばれる虚弱状態や、介護が必要になるリスクも高まります。

最新の研究では、若い人と高齢者あわせて131名の血液を調べ、アミノ酸が筋肉や炎症にどう関係するかを調べています。すると、高齢者では、筋肉の材料となる「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」や「EAA(必須アミノ酸)」と呼ばれるアミノ酸の血液中の量が、若い人に比べて少なくなっていました。また、BCAAやEAAが多い高齢者ほど、筋肉量や握力が高いこともわかりました。つまり、BCAAやEAAは、年をとっても筋肉を保つために重要なアミノ酸だということです。

一方で興味深いことに、高齢者では、BCAAやEAAが多いほど、体の炎症を示す「CRP」や「IL-6」という物質も高くなる傾向が見つかりました。炎症は、年をとると少しずつ体内で進む「慢性炎症(インフラメイジング)」として知られており、老化やサルコペニアに関係すると考えられています。本来、BCAAやEAAは筋肉を作るために必要なアミノ酸ですが、高齢になると筋肉の分解が進み、血液中にこれらのアミノ酸が流れ出て炎症にも関わる可能性があることが示唆されました。

また、「トリプトファン」という別のアミノ酸と、その代謝産物「キヌレニン」の関係も注目されました。高齢者では、トリプトファンは高く、キヌレニンは低くなる傾向があり、炎症が影響している可能性が考えられています。キヌレニンは老化や炎症のサインとして注目されている物質でもあります。

このように、血液中のアミノ酸の変化は、単に筋肉の減少だけでなく、炎症や老化の進み具合とも関係していることがわかりました。今後、血液中のアミノ酸を測ることで、サルコペニアやフレイルの予防・早期発見につながる可能性が期待されています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次