人工関節術とビタミンD濃度

人工関節の再手術(再置換術)を受ける人では、ビタミンD不足である割合が多いことが分かりました。ビタミンDは骨や筋肉の健康を保ち、関節手術の成功に欠かせない栄養素です。不足すると、術後の回復が遅れたり、感染リスクが高まったりする可能性があります。

最新の研究では、人工関節の再手術が必要となった249人を対象に血中ビタミンD濃度を測定しました。普段からサプリメントを摂っていた人は全体の23%で、その75%が十分なビタミンD濃度を保っていました。一方、サプリを摂っていない人の81%は不足しており、平均値は19.91ng/mLと、摂取群(40.66ng/mL)と比べて大きく下回っていました。

また、肥満気味の人や喫煙者ではビタミンDが不足しやすく、吸収や代謝が影響を受けていると考えられます。さらに春の時期には、日照時間の影響で、サプリを摂っていても不足しがちになる傾向も見られました。一方、年齢はビタミンDの状態に大きな影響を与えていませんでした。

このように、再手術を控える患者の多くがビタミンD不足であり、普段からの摂取が血中濃度を高める有効な方法であることが明らかになりました。手術の成功率や回復力を高めるためにも、ビタミンDの状態は事前にチェックし、必要があれば補うことが大切です。とくに高齢者や慢性疾患を抱える人では、食事や日光浴だけで不足しがちな場合も多く、医師の指導のもとでのサプリメント利用も検討すべきでしょう。ビタミンDの大切さは、見落とされがちですが、外科手術の成功を陰で支える重要な栄養素です。

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