「サルコペニア」とは、加齢によって筋肉量が減少する状態のことで、転倒や寝たきりの原因となるため、できるだけ予防したいものです。そこで注目されているのが、筋肉の材料となる「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」です。BCAAはサプリメントなどでも広く利用されており、筋肉の維持に役立つ成分として知られています。しかし、加齢とともに、血液中にBCAAがあっても筋肉にうまく取り込めず、使われにくくなることがあります。これは、BCAAを筋肉に運ぶたんぱく質や、BCAAを利用する酵素が年齢とともに減ってしまうためと考えられています。
最新の研究では、ライチから作られた天然成分「オリゴノール」にBCAAの働きを助ける役割があることが報告されました。サルコペニアの状態にあるマウスにオリゴノールを与えると、筋肉がBCAAをしっかり取り込めるようになり、筋肉の合成が進みやすくなることがわかりました。このことから、オリゴノールとBCAAを組み合わせて摂ることで、筋肉の衰えを防ぎ、健康を維持する新しい方法になる可能性があります。
オリゴノール(Oligonol)とは、ライチ(Litchi chinensis)の果実から抽出されたポリフェノールを低分子化した健康成分です。もともとポリフェノールは抗酸化作用や抗炎症作用を持ち、健康に良いとされていますが、分子が大きいため体内で吸収されにくいという弱点があります。オリゴノールはそれを低分子化(体に吸収されやすい形に)することで、機能性を高めたものです。
オリゴノールの主な特徴と働き:
- 強力な抗酸化作用
活性酸素を除去し、細胞の老化や炎症を抑える働きがあります。 - 血流改善
血管を広げ、血流を良くする作用があり、冷え性や運動パフォーマンスの向上にも注目されています。 - 筋肉の健康をサポート
本研究のように、加齢による筋肉の衰え(サルコペニア)に対して、BCAAの働きを高める補助効果が期待されています。 - 脂肪燃焼サポートやメタボ対策
脂質代謝を助け、内臓脂肪の減少に効果があるという報告もあります。 - 紫外線ダメージの軽減
皮膚の酸化ストレスを軽減し、しみやしわの予防にも役立つとされ、美容分野でも注目されています。
安全性
オリゴノールは、ヒトでの臨床試験も行われており、比較的安全性の高い成分とされています。サプリメントとして広く利用されており、医療やアンチエイジングの分野でも活用が進んでいます。
つまりオリゴノールは、体内で吸収されやすいように加工されたライチ由来のポリフェノールで、抗酸化・抗炎症・血流改善・筋肉の健康維持など多面的な健康効果が期待される成分です。サルコペニア対策や日常の健康維持に、BCAAなどと組み合わせることで、より効果的なサポートが期待されています。