魚の摂取量が減っていると言われていますが、魚には様々な健康増進効果があります。なかでも青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸(EPA,DHA)の効用は医学的にも広く認められています。本日は魚脂が脳萎縮を予防する効果について述べた論文をご紹介します。
193名のアルツハイマー病患者、397名の軽度認知症患者、229名の認知力正常患者が対象です。5年間にわたるフォローアップ期間中、6ヶ月毎にMRI検査を行った結果、海馬と皮質の灰白質のボリュームは経時的に減少する傾向がありました。しかし、サプリメントとして魚脂を定期的に摂取している群で、かつ遺伝子のAPOE-ε4が陰性の場合には、海馬と皮質の灰白質のボリュームの減少が起きていないことが確認されました。
認知症の原因の一つとして慢性炎症が疑われています。魚脂に含まれるEPA,DHAには炎症を抑制する働きがあります。今回の研究で確認された脳細胞の萎縮予防効果も、こうしたメカニズムによるものかもしれません。認知症予防のためにも、EPA/DHAを含む魚脂のサプリメントを積極的に摂りたいものです。
魚脂のサプリメントは、有害金属を含んでいないことを明記した高品質の製品を選ぶことが重要です。EPAとDHAの摂取量の目安ですが、一日あたり最低でも 1000 mg 以上、症状がある場合には、2000〜3000 mg程度を目標にすることをお勧めします。