本日はご飯、パン、うどんなどの炭水化物から食事を始めることのリスクについてお話しします。
私たちの食事の内容は、炭水化物、脂質、タンパク質という3大栄養素から構成されています。このうち血糖値を急速に上昇させる食品は炭水化物に含まれる糖質です。ご飯、パン、うどん、パスタなどを食事のはじめに食べると、食後血糖値が急上昇するだけでなく、血液中のインスリン濃度も上昇し、結果として3時間後の血糖値が下がりやすくなっていることが指摘されています。
今回の研究はこれを裏付けるためのもので、糖尿病患者さん16名を対象にして臨床試験を行っています。カーボファースト群では、オレンジジュースとパンの一種であるチャバッタを10分かけて食べた後、10分間の休憩をはさみチキンサラダを食べます。カーボラスト群では、最初にチキンサラダを食べ、10分間の休憩をはさみオレンジジュースとチャバッタを食べます。3つ目の群はチキンサラダをチャバッタに挟み込んだサンドイッチにしてオレンジジュースとともに食べます。
以上の3つの群で血糖値やインスリンがどのように変化したかを調べています。 その結果は、カーボラスト群のみが食後血糖値の急激な上昇を抑えるというものでした。カーボファースト群やサンドイッチ群では食後の高血糖が続き、3時間後にはむしろ血糖値が下がる傾向が見られています。
今回の研究のポイントは二つあります。どのような食品から食べ始めるべきなのかという食べる順番の意味と、食事にかける時間です。せっかく炭水化物を最後にしても、食事にかける時間が短い場合には、その効果が期待できない可能性があります。カーボラストで、しかもゆっくりとした食事が糖尿病対策には有効と言えそうです。